神殺しのクロノスタシス2
伝達魔法は、発信者、受信者共に魔導師でなくては使えない。
アトラスはイーニシュフェルト魔導学院出身だが、魔法は使えない。
その為。
シルナは、エクトルにいるアトラスの部隊所属の魔導師に伝達魔法を使い、アトラスに伝言を頼んだ。
めっちゃヘラヘラしながら伝言してたぞ。
「シュニィちゃんに赤ちゃん出来たよ~。おめでと~」とか。
伝達される魔導師も苦笑いだろうな。
だがまぁ、今頃アトラスも喜んでいることだろう。
…で、その一方。
「大丈夫?シュニィちゃん」
「…済みません…」
吐き気がなかなか収まらず、それどころか倦怠感が酷いらしく、シルナとイレースに勧められ、医務室のベッドに横になっていた。
めでたいことではあるのだが、やはり悪阻は辛いようだ。
シュニィが悪い訳じゃないからな。気にするな。
…それにしても。
「…シュニィが身重なら、『禁忌の黒魔導書』の調査を任せる訳にはいかないな」
「…そうだね」
今が、一番大事な時期。
無理に彼女を働かせ、お腹の子に何かあれば、俺達がアトラスに殺されかねない。
本気になったあの男に追われたら、さすがの俺も命の危機を感じるぞ。
「済みません…。私のせいで…」
青ざめた顔で言うシュニィ。
「そんな、シュニィちゃんは悪くないよ。シュニィちゃんの今の一番の仕事は、お腹の子を元気に育てることだよ」
「その通りです。おめでたいことなのですから、気にしなくて良いんです」
そう言われてもまだ、シュニィは申し訳なさそうな顔。
おまけに悪阻の症状も辛いらしく。
「…うっ…」
再び吐き気が襲ってきたようで。
…これ、あれだな。
俺達はいない方が良いな。
そうだというのに。
「シュニィちゃん!シュニィちゃん大丈夫!?」
多分本気で心配してるだけなんだろうけど、シルナは大声を出し、やや乱暴な手つきでシュニィの背中をさすろうとした。
あの馬鹿。
ただでさえ、気分が悪いであろうシュニィの耳元で大声を出し。
しかも、女性のデリケートな身体のこと。
恩師とはいえ、家族でもないシルナに、無遠慮に触れられたくはないだろうに。
しかし。
無論、そんなことはイレースは許さない。
イレースはシルナの向こう脛を思いっきり蹴っ飛ばした。
「あ痛ぁぁ!」
「喧しい。出ていきなさい」
「ほら行くぞ、馬鹿シルナ」
俺はシルナの襟首を掴み、ずるずると引き摺って医務室を出た。
アトラスはイーニシュフェルト魔導学院出身だが、魔法は使えない。
その為。
シルナは、エクトルにいるアトラスの部隊所属の魔導師に伝達魔法を使い、アトラスに伝言を頼んだ。
めっちゃヘラヘラしながら伝言してたぞ。
「シュニィちゃんに赤ちゃん出来たよ~。おめでと~」とか。
伝達される魔導師も苦笑いだろうな。
だがまぁ、今頃アトラスも喜んでいることだろう。
…で、その一方。
「大丈夫?シュニィちゃん」
「…済みません…」
吐き気がなかなか収まらず、それどころか倦怠感が酷いらしく、シルナとイレースに勧められ、医務室のベッドに横になっていた。
めでたいことではあるのだが、やはり悪阻は辛いようだ。
シュニィが悪い訳じゃないからな。気にするな。
…それにしても。
「…シュニィが身重なら、『禁忌の黒魔導書』の調査を任せる訳にはいかないな」
「…そうだね」
今が、一番大事な時期。
無理に彼女を働かせ、お腹の子に何かあれば、俺達がアトラスに殺されかねない。
本気になったあの男に追われたら、さすがの俺も命の危機を感じるぞ。
「済みません…。私のせいで…」
青ざめた顔で言うシュニィ。
「そんな、シュニィちゃんは悪くないよ。シュニィちゃんの今の一番の仕事は、お腹の子を元気に育てることだよ」
「その通りです。おめでたいことなのですから、気にしなくて良いんです」
そう言われてもまだ、シュニィは申し訳なさそうな顔。
おまけに悪阻の症状も辛いらしく。
「…うっ…」
再び吐き気が襲ってきたようで。
…これ、あれだな。
俺達はいない方が良いな。
そうだというのに。
「シュニィちゃん!シュニィちゃん大丈夫!?」
多分本気で心配してるだけなんだろうけど、シルナは大声を出し、やや乱暴な手つきでシュニィの背中をさすろうとした。
あの馬鹿。
ただでさえ、気分が悪いであろうシュニィの耳元で大声を出し。
しかも、女性のデリケートな身体のこと。
恩師とはいえ、家族でもないシルナに、無遠慮に触れられたくはないだろうに。
しかし。
無論、そんなことはイレースは許さない。
イレースはシルナの向こう脛を思いっきり蹴っ飛ばした。
「あ痛ぁぁ!」
「喧しい。出ていきなさい」
「ほら行くぞ、馬鹿シルナ」
俺はシルナの襟首を掴み、ずるずると引き摺って医務室を出た。