神殺しのクロノスタシス2
さて、中央広場にやって来たら。

まず、生徒の点呼をし。

全員いることを確認してから、業者に頼んでいたお茶とお弁当を、全員に配った。

いや、イーニシュフェルト魔導学院に来るような生徒は、魔力が多いから、食事を摂取する必要はあまりないのだけど。

生徒達は育ち盛りだから。

食べときなさい。

で、まぁ生徒に食べさせといて、教師陣は傍観、ってのも変なので。

一応、俺達も注文させてもらっ…。

…あれ?

「一人分足りなくね?」

「え?」

お弁当とお茶を、業者に発注したのはイレースである。

彼女が、そんなケアレスミスを犯すとは思えないのだが。

これがシルナならまだしも。

しかし。

「あぁ、僕の分、頼まないようお願いしたんですよ、イレースさんに」

と、ナジュ。

何だと?

「食べないの?ナジュ君」

まぁ、俺達に食事は必要ないとはいえ。

生徒が食べている手前、ナジュだけ手持ちぶさたなのも…。

と、思ったら。

「マイ弁当。作ってきたんで」

「!?」

ナジュは、さっ、とランチボックスを取り出した。

お前…そういうキャラなの?

「しかも見てくださいよ。これ、今日のは気合いを入れてきたんで、力作ですよ」

「…!マジで…?」

ナジュの手作り弁当は。

…なんと、キャラ弁だった。

ルーデュニア国民なら誰でも知ってる、某キャラクターのキャラ弁。

子供の遠足の為に、めちゃくちゃ気合い入れたお母さんか、お前は。

なんとも精巧な出来に、生徒達もわらわら集まってきた。

「ナジュ先生、それ凄いですね!」

「ヤバい、めっちゃ可愛い…!」

「それ、彼女さんが作ったんですか?」

「いえ、彼女料理苦手なんで。僕が作りました」

そもそもお前の彼女、苦手以前にキッチンにすら立てないからな。

「すご~い!可愛い!」

「ナジュ先生って、料理も上手なんですね」

「いや、それほどでもありますよ」

あるんかい。

でなきゃ見せびらかさんよな。

「何なら味見しても良いですよ」

「えっ、良いんですか?」

「えぇ。そもそも僕、食べる必要ないですしね」

「じゃあ頂きます!」

「あ、私も」

「私も私も」

ナジュ、モテモテ。

これで、見た目は凄く可愛いけど、食べてみたら全然美味しくない、とかいうオチだったら面白いんだが。

残念ながら。

「美味しい!」

「絶品です!」

めちゃくちゃ評判良い。

料理上手で器用とか、お前本当、狙ってんのかってくらいモテる男子キメてるな。

見てみろ。あのナジュのどや顔。

そして見てみろ。

「…ふーん…。業者さんのお弁当だって美味しいもんねー」

この、いじけたシルナの顔。

…まぁ、あれだ。

元気出せ、シルナ。
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