神殺しのクロノスタシス2
貸し切りバスに乗り、温泉宿に到着。

ここがベルカの実家なのか。

「しかし、遠足が温泉って。最早日帰り旅行ですね」

「お前な…。提案したの自分だろうが」

何を今更。

「わぁ~!綺麗だねぇ羽久」

先日まで、へそを曲げていたシルナだが。

遠足となると、すぐにテンションが上がってきたようで。

まぁ切り替え早いのは良いことだ。

いつまでもうじうじされてたら、こっちも気が滅入るし。

で、何が綺麗だって?

シルナの指差す先には、真っ赤に染まった、見事な紅葉であった。

「はー…。本当に綺麗だな」

「でしょ?でしょ?」

何故お前が自慢気?

観光地なだけあって、さすがの景色。

これを見ながら温泉に入れるとは。

夜だったらもっと綺麗だったろうけど、今回は仕方ない。

まぁ、昼間でも充分綺麗だ。

「僕、紅葉が綺麗だって思ったことないんですよねぇ。だって、葉っぱですよ?所詮」

「…」

…なんか、水を差してくる奴がいる。

「冬になったらハゲ頭になるから、最後の抵抗として赤くなってるんですかね?」

「…知らねぇよ…」

それ、お前。生徒には言うなよ。

生徒は喜んで来てるんだから。

そりゃ確かに、俺も正直、紅葉より桜とかの方が好きだけど。

折角の秋なんだから。

風情も糞もない奴だ。

「済みません、僕風情も糞もない人間で」

「全くだ」

そういうところだ。そういうところ。

ちなみに。

言うまでもないことだが、男女はそれぞれ別風呂。

これは当たり前である。

ナジュは平気な顔をして、「え?僕は別に女湯でも良いんですけど」とか抜かしてたが。

それは聞こえないことにして。

生徒と教師も、別風呂である。

だってさ、ほら。

俺達は別に良いんだけど。

教師まで生徒と一緒に男湯に入ったら、生徒達が気まずいだろ?

教師がいると、話せないこともあるだろうし。

そんな訳で、何が楽しくて。

教師三人衆(全員男)で、仲良く入浴タイムである。
< 504 / 742 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop