神殺しのクロノスタシス2
「何が楽しくて、野郎二人と風呂入ろうとしてんですかねぇ、僕」
「お前さぁ…。少しは隠す努力しろよ…」
俺は、げんなりとしてナジュに言った。
発言の問題じゃないぞ。
こいつが何でも思ったこと、ポンポン言い出す奴だってことは分かってるし。
今更改善を求めたところで、無駄だということも分かってる。
そうじゃない。
もっと物理的な問題。
お前が肩にかけてるタオルは、何の為にあると思ってるんだ。
少しは隠せ。裸体を。
なんか見せつけられてるみたいで、嫌なんだけど?
「良いじゃないですか、男同士なんだし」
「それはそうだけど」
「それに、学院長が隠してるなら、それで良いです」
…確かにな。
中年のおっさんの裸体なんて、もう見るに耐えんからな。
モザイクかけたいレベル。
「羽久が…私に失礼なこと考えてる気がする…」
ちゃんとタオルで身体を隠したシルナが、ジト目でこちらを見ていた。
よし、そのまま隠しとけよ。
俺達の精神衛生の為にな。
そして、いざ。
入浴タイム。
露天風呂ってあれだよな。
風呂に浸かってるときは良いんだけど。
如何せん屋外なもんだから、脱衣場から出て湯の中に入るまでが、割と地獄。
「うわ、さっむ」
まだ秋とはいえ、全裸で屋外はさすがに寒い。
「あーやだやだ。早く浸かりたい」
「あ、お前コラ。まず掛け湯をしてから」
と、言ったときには既に遅い。
ナジュは、水泳よろしく、そのままどぼーん、と大理石の浴槽に飛び込んだ。
誰かあいつに、マナーとかそういうのを教えてやってくれよ。
守る気さらっさらないんだから。
「あぁ…。寒い。寒いねぇ羽久」
その後ろから、震える学院長登場。
そういやいたなお前。ナジュと比べてキャラ薄くなってきてるから、忘れかけてたわ。
「…羽久が…私に失礼なことを考えてる…気がする…」
「気のせいだ。ほら、掛け湯して入るぞ」
俺達はマナーを守るぞ、ちゃんとな。