神殺しのクロノスタシス2
勿論、ここにいるのは本物の彼女じゃない。
僕の中にある彼女の魂が、幻影を作り出して現れた、所詮は偽物の身体。
触れることは出来る。温もりを感じることも。
だけど、それは僕の記憶にある「情報」が、彼女の姿を模して映しているだけ。
虚しい、空っぽの身体。
それでもやはり、そこに宿るのが彼女の魂そのものであることに、変わりはない。
だから僕は、ここに来ると安らぎを覚えるのだ。
まるで、生きていた頃の彼女に再会出来たようで。
…今までの辛いことや寂しいこと全部、なかったことに出来る気がして。
そんなはずはないのにね。
そんな風に考えてしまうんだよ。
僕は弱いから。
他の人みたいに、僕は強くないから。
心の中に残る記憶に、頼ることしか出来ないほどに。
「…また寂しくなっちゃった?」
そんな僕の心を案じてか、リリスがそう聞いた。
「…僕はあなたを失ってから、ずっと寂しいですよ…」
「ふふ。そっかー。そうだね、私も寂しい」
全く、リリスと来たら。
笑い事じゃないっての。
「…ずっと傍にいるのに…」
ずっと、誰よりも僕の近くにいるのに。
それなのに、一度も触れられなかった。
その孤独は、簡単に埋められるものではない。
だから、こうして精神世界で一緒にいるときは。
もうこのまま、永遠に僕達の時間が止まってしまえば良いのにと思う。
でも出来ないんだよね。
僕達には、まだ許されない。
「…ごめんね」
リリスは、僕の頬を包み込むように撫でた。
その温もりは本物なのか、僕が勝手に作り出したものなのか。
きっと後者なのだろうけど、今は前者だと信じたい。
「君に罪を背負わせたのは、全部私のせい」
「…あなたの、せいじゃ」
「ううん、私が悪いの。私は、君を失いたくなかった…」
「…」
その気持ちは、よく分かる。
リリスは僕を失えば、また一人ぼっちになってしまう。
だから怖かったんだよね。
孤独に耐えられなくて、それで僕と融合することで、僕の中で生き続けて…。
結局そのせいで、またお互い、一人ぼっちになっちゃったんだから、意味がないのかもしれないけど。
僕達は、似た者同士だ。
お互い、ただ、永遠に一緒だと誓い合える相手が欲しかった。
ただ、それだけの話なのだ。
その為に、どれだけの命が犠牲になったとしても。
そんなこと、どうでも良いって。
かつてシルナ・エインリーがそうであったように。
世界のこととか、他人のこととかどうでも良いから。
ただ、愛する人の傍に、ずっといたかっただけなのだ。
僕の中にある彼女の魂が、幻影を作り出して現れた、所詮は偽物の身体。
触れることは出来る。温もりを感じることも。
だけど、それは僕の記憶にある「情報」が、彼女の姿を模して映しているだけ。
虚しい、空っぽの身体。
それでもやはり、そこに宿るのが彼女の魂そのものであることに、変わりはない。
だから僕は、ここに来ると安らぎを覚えるのだ。
まるで、生きていた頃の彼女に再会出来たようで。
…今までの辛いことや寂しいこと全部、なかったことに出来る気がして。
そんなはずはないのにね。
そんな風に考えてしまうんだよ。
僕は弱いから。
他の人みたいに、僕は強くないから。
心の中に残る記憶に、頼ることしか出来ないほどに。
「…また寂しくなっちゃった?」
そんな僕の心を案じてか、リリスがそう聞いた。
「…僕はあなたを失ってから、ずっと寂しいですよ…」
「ふふ。そっかー。そうだね、私も寂しい」
全く、リリスと来たら。
笑い事じゃないっての。
「…ずっと傍にいるのに…」
ずっと、誰よりも僕の近くにいるのに。
それなのに、一度も触れられなかった。
その孤独は、簡単に埋められるものではない。
だから、こうして精神世界で一緒にいるときは。
もうこのまま、永遠に僕達の時間が止まってしまえば良いのにと思う。
でも出来ないんだよね。
僕達には、まだ許されない。
「…ごめんね」
リリスは、僕の頬を包み込むように撫でた。
その温もりは本物なのか、僕が勝手に作り出したものなのか。
きっと後者なのだろうけど、今は前者だと信じたい。
「君に罪を背負わせたのは、全部私のせい」
「…あなたの、せいじゃ」
「ううん、私が悪いの。私は、君を失いたくなかった…」
「…」
その気持ちは、よく分かる。
リリスは僕を失えば、また一人ぼっちになってしまう。
だから怖かったんだよね。
孤独に耐えられなくて、それで僕と融合することで、僕の中で生き続けて…。
結局そのせいで、またお互い、一人ぼっちになっちゃったんだから、意味がないのかもしれないけど。
僕達は、似た者同士だ。
お互い、ただ、永遠に一緒だと誓い合える相手が欲しかった。
ただ、それだけの話なのだ。
その為に、どれだけの命が犠牲になったとしても。
そんなこと、どうでも良いって。
かつてシルナ・エインリーがそうであったように。
世界のこととか、他人のこととかどうでも良いから。
ただ、愛する人の傍に、ずっといたかっただけなのだ。