神殺しのクロノスタシス2
…。
「…心を読めるお前なら、もう分かっているだろう」
「…えぇ、今分かりました」
あんたが、二つの隠し事をしていたことが分かりました。
今まで僕がいるときは、敢えて心を閉ざしていたな。
本ッ当に、こいつ、性根の悪い女。
そして、狡猾。
さすがさすが。
シルナ・エインリーと並ぶ狡猾さ。
もう僕、イーニシュフェルト出身の人、信じるのやめようかな。
「…見合わないですね」
…お互い利用し合おうってことで、手を組んだけどさ。
僕だけがお互い利用しているつもりであって。
この女は、その実僕だけを便利な小間使いとして、一方的に利用していたのだ。
僕の、この心眼を欺いて。
僕ばっかり働かされて、利用されて。
酷使されちゃってさ。
今更になって、そんなこと言われてさ。
『カタストロフィ』に与して、危険を犯して潜入任務についた。
それなのに、この女。
僕のことを、単なる働きアリとしか思ってなかった訳だ。
働きに見合わないよ。
「『それ』があなたにも出来るなら…僕は、わざわざシルナ・エインリーに接触する必要はなかったものを」
「騙された貴様が悪い」
「まぁそうなんですけど」
見抜けなかった、僕が悪い。
仕方ない。あのときはもう、死にたくて、死にたくて。
それ以外には、何も考えられなかった。
ちょっと冷静になれば、見抜けたかもしれなかったのに。
なんか僕、今、凄く滑稽じゃないか?
この女を利用するつもりで、手を組んだのに。
実は、利用されてたのは僕だけで。
しかも、せめてもの恩返しと贖罪の為にと。
こうして、元『カタストロフィ』のアジトだった異空間に、わざわざやって来たのに。
僕のやったことって、実は物凄く検討違いで。
検討違いと言えば、聞こえは良いが。
要するに、一言で言えば。
「…僕が馬鹿だったってことですね」
踊らされてた。この女に。
ヴァルシーナ・クルスに。
なぁ、シルナ・エインリーよ。
以前僕は、あなたに問うただろう。
どの面さげて、のうのうと生き延びているのかと。
あの言葉、今更ながら、撤回させてもらえないだろうか。
あなたのそれに比べたら。
僕の今の、この面は。
滑稽以外の、何物でもない。
ねぇ、あなたも、そう思うでしょう?
ヴァルシーナ・クルス。
かつてあの場所が、イーニシュフェルトの里、と呼ばれていた頃。
里の族長、その孫娘のあなたも。
「…『神殺しの魔法』を、使えるんですね」
その魔法を使えるのは、シルナ・エインリー一人ではなかったのだ。
「…心を読めるお前なら、もう分かっているだろう」
「…えぇ、今分かりました」
あんたが、二つの隠し事をしていたことが分かりました。
今まで僕がいるときは、敢えて心を閉ざしていたな。
本ッ当に、こいつ、性根の悪い女。
そして、狡猾。
さすがさすが。
シルナ・エインリーと並ぶ狡猾さ。
もう僕、イーニシュフェルト出身の人、信じるのやめようかな。
「…見合わないですね」
…お互い利用し合おうってことで、手を組んだけどさ。
僕だけがお互い利用しているつもりであって。
この女は、その実僕だけを便利な小間使いとして、一方的に利用していたのだ。
僕の、この心眼を欺いて。
僕ばっかり働かされて、利用されて。
酷使されちゃってさ。
今更になって、そんなこと言われてさ。
『カタストロフィ』に与して、危険を犯して潜入任務についた。
それなのに、この女。
僕のことを、単なる働きアリとしか思ってなかった訳だ。
働きに見合わないよ。
「『それ』があなたにも出来るなら…僕は、わざわざシルナ・エインリーに接触する必要はなかったものを」
「騙された貴様が悪い」
「まぁそうなんですけど」
見抜けなかった、僕が悪い。
仕方ない。あのときはもう、死にたくて、死にたくて。
それ以外には、何も考えられなかった。
ちょっと冷静になれば、見抜けたかもしれなかったのに。
なんか僕、今、凄く滑稽じゃないか?
この女を利用するつもりで、手を組んだのに。
実は、利用されてたのは僕だけで。
しかも、せめてもの恩返しと贖罪の為にと。
こうして、元『カタストロフィ』のアジトだった異空間に、わざわざやって来たのに。
僕のやったことって、実は物凄く検討違いで。
検討違いと言えば、聞こえは良いが。
要するに、一言で言えば。
「…僕が馬鹿だったってことですね」
踊らされてた。この女に。
ヴァルシーナ・クルスに。
なぁ、シルナ・エインリーよ。
以前僕は、あなたに問うただろう。
どの面さげて、のうのうと生き延びているのかと。
あの言葉、今更ながら、撤回させてもらえないだろうか。
あなたのそれに比べたら。
僕の今の、この面は。
滑稽以外の、何物でもない。
ねぇ、あなたも、そう思うでしょう?
ヴァルシーナ・クルス。
かつてあの場所が、イーニシュフェルトの里、と呼ばれていた頃。
里の族長、その孫娘のあなたも。
「…『神殺しの魔法』を、使えるんですね」
その魔法を使えるのは、シルナ・エインリー一人ではなかったのだ。