神殺しのクロノスタシス2
…誰だ。このモブ。

全く見覚えがないぞ。

しかも。

「お前のせいで…お前のせいで…」

「子供を殺された…私の子を返せ…」

「お前が家族を殺した…」

モブの死体達が、次々と増えていった。

全員、首と胴体が離れていた。

だって、僕が殺したんだから。

顔なんて覚えてない。

でも、殺したのは僕なのだ。

かつて僕が殺した人々が、僕を睨み、責め、憎しみを向けている。

「何でお前が生きてるんだ…」

「私達は、まだ生きていたかったのに…」

「お前の、身勝手な願いの為に…」

…モブの癖に。

練習してきたのかってくらい、連携取って僕を責めてきやがる。

やめろよ。

しかも。

「酷いよ、ナジュ君…」

「!?」

さっき首を跳ねたはずのリリスが、再び復活していた。

「どうして殺してくれないの…?」

「…生きろって言ったのは、あなたじゃないですか」

やめろ。

相手は所詮幻覚だ。

まともに相手をしてはいけない。

それなのに。

僕は早くも、その空間に呑まれそうになっていた。
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