神殺しのクロノスタシス2
「…やっぱり、君だったんだね」
シルナは、静かにそう言った。
…やっぱり?
「知り合いなのか、シルナ…」
「…うん。彼女が小さい頃に、何度かね」
ヴァルシーナが小さい頃って…。
「イーニシュフェルトの里の…族長の孫娘」
「…!?」
「そうだよね?」
「…そうだ」
そんな、まさか。
じゃあ『カタストロフィ』のリーダーは、シルナの故郷の…。
「…一度だけ、お前にチャンスを与えてやろう」
ヴァルシーナは、上から目線でシルナに言った。
上から目線になるのも当然だ。
何せ彼女は、イーニシュフェルトの里の族長の血を継いでいる。
シルナにとっては、かつての上司の孫娘なのだから。
「今すぐ、その忌々しい…。邪神を宿す者を、殺せ」
「…」
邪神を宿す者。
それはつまり、俺のこと…いや、前の俺のことか。
俺を差し出せば、まだ許してやる、と。
これまでの数々の狼藉を、なかったことにしてやろう、と。
素晴らしく寛大な措置ではないか。
だからシルナは、ここでうんと頷けば良い。
ごめんなさい私が間違っていました、と頭を下げ。
そして、俺を差し出せば良い。
それだけだ。簡単な話だ。
それが正解の道で、正しいはずの選択なのだ。
しかし。
「…それは出来ない」
シルナは、きっぱりとそう答えた。
シルナは、静かにそう言った。
…やっぱり?
「知り合いなのか、シルナ…」
「…うん。彼女が小さい頃に、何度かね」
ヴァルシーナが小さい頃って…。
「イーニシュフェルトの里の…族長の孫娘」
「…!?」
「そうだよね?」
「…そうだ」
そんな、まさか。
じゃあ『カタストロフィ』のリーダーは、シルナの故郷の…。
「…一度だけ、お前にチャンスを与えてやろう」
ヴァルシーナは、上から目線でシルナに言った。
上から目線になるのも当然だ。
何せ彼女は、イーニシュフェルトの里の族長の血を継いでいる。
シルナにとっては、かつての上司の孫娘なのだから。
「今すぐ、その忌々しい…。邪神を宿す者を、殺せ」
「…」
邪神を宿す者。
それはつまり、俺のこと…いや、前の俺のことか。
俺を差し出せば、まだ許してやる、と。
これまでの数々の狼藉を、なかったことにしてやろう、と。
素晴らしく寛大な措置ではないか。
だからシルナは、ここでうんと頷けば良い。
ごめんなさい私が間違っていました、と頭を下げ。
そして、俺を差し出せば良い。
それだけだ。簡単な話だ。
それが正解の道で、正しいはずの選択なのだ。
しかし。
「…それは出来ない」
シルナは、きっぱりとそう答えた。