神殺しのクロノスタシス2
…この。

この、馬鹿。馬鹿野郎。

「ナジュ!!」

咄嗟に攻撃の間に立って、俺を庇ったのは、ナジュだった。

あれだけの攻撃を食らったのだ。

ナジュは、ただの肉の塊と化していた。

四肢は全て引きちぎられ、内臓が辺り一面に飛び散り。

顔が半分にちぎれ、ペースト状となった脳みそが飛び出していた。

「あ…ぐ…」

その身体で、一体何処から声を出しているのか。

ナジュは、片方だけ残った眼球で、こちらを見ていた。

「…いてぇ…」

そりゃそうだろ。

「不死身…じゃなかったら、僕、死んでましたよ…」

むしろ、そこから再生出来るのが凄いよ。

「お前、自分が不死身だからって、むやみやたらと盾になるのやめろ!」

「あはは…。ちょっと、これ…回復、時間かかりそうなんで…。盾、しばらく出来ないかな…」

「まず盾になろうとするのをやめろ!」

「…済みません、後…頼みます…」

そう言って、ナジュは目を閉じた。

引きちぎられた身体が、早くも再生を始めていたが。

その速度は遅く、まるで蝶が脱皮しているのを眺めているかのようだった。

悲惨過ぎる。

こいつが再生したら、まずいの一番にぶん殴ってやる。

「…ちっ」

渾身の一撃を、不死身野郎に邪魔された苛立ちからか。

ヴァルシーナは、顔をしかめて舌打ちした。

…この女。

絶対許さん。
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