神殺しのクロノスタシス2
「どいつもこいつも…。使えない愚か者ばかりだ」

「…」

「所詮、他人など信じるに値しない。私は私の意思で、祖父から受けた使命を果たす。お前とは違うんだ、シルナ・エインリー」

「…そうだね」

「我ら一族の恥さらし。イーニシュフェルトの面汚し。悪魔に魂を売った、裏切り者…!」

「そうだね」

シルナは、何も否定しなかった。

「分かってたよ。二十音をこの手にかけることが出来なかったあのとき、私は過去の亡霊に…かつての同朋に、地獄の底から罵られることになると」

「…」

「でも、後悔はしてない。謝ろうとも思わない」

「!貴様…!」

「何度同じ選択を迫られても…私は、二十音を選ぶ。だから…」

シルナは、くるりとこちらを向き。

とんでもないことを言った。

「私一人で相手にする。羽久は下がってて」

「…は?」

こいつ、今、また馬鹿なこと言わなかったか?

そこでミンチになってるナジュより、馬鹿なこと言わなかったか?

「これは私のけじめ。いつかこんな時が来ると分かっていた。私が選んだ選択が、いつか誰かに咎められると」

「シルナ…」

「だから、お願いだ。手を出さないで。私は私の選んだ選択の、その罪をこの手で晴らさなければならない」

…何で、こいつらは。

罪とか使命とかけじめとか。

どうして、そんな下らないものに縛られて…。

「…それに」

シルナは、ヴァルシーナと真正面から相対した。

「君も、その方が良いだろう?」

「…当然だ。裏切り者」

二人で、一騎討ちしないと気が済まないと。

この、脳筋野郎共。

「馬鹿かお前!そんな下らないものに縛られて、万が一お前が負けるようなことになったら、」

「…大丈夫だよ、羽久」

シルナは俺に向かって、杖を振った。

あまりにも突然過ぎて、反応することが出来なかった。

一瞬にして、俺は意識を失った。


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