神殺しのクロノスタシス2

sideシルナ

──────…ごめんね、羽久。

私は、気絶している羽久を見下ろして、心の中で謝った。

こういうことをするから、日頃羽久に怒られてばっかりなんだ。

それは分かってるけど。

でも、今回ばかりは。

イーニシュフェルトの里の…族長の孫娘との一騎討ちとなれば。

羽久を巻き込む訳にはいかない。

これは、これだけは、絶対に譲れない。

この罪は、私が一生背負っていかなければならないものだから。

ヴァルシーナは、私が裏切った全ての人々の代弁者なのだ。

だから、私の手で決着をつける。

「シルナ・エインリー。私は決して…お前を許さない」

「…」

「お前に使命を託し、死んでいった者達もまた、お前を許さない」

…だろうね。

今でも聞こえるから。

耳元でずっと、呪詛の言葉が。

「私が断ち切る。一族の恥を、私が晴らす…!」

ヴァルシーナは、猪突猛進とばかりに突っ込んできた。

さすがは、族長の孫娘だけのことはある。

並みの魔導師ではない。

…でも。

「君では、私には勝てないよ」





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