神殺しのクロノスタシス2
二人組で…相性補完が出来て…更に、『禁忌の黒魔導書』に因縁のない人物…。

と、言えば…。

「…おい、おいルイーシュ」

「あー、桜散りましたね~」

「棒読みやめろ。聞こえてんだろ」

「♪♪♪~」

…まぁ、この二人なんだけど。

キュレムとルイーシュ。

彼らは元々、二人で一人ってくらいに相性が良いし…。

『禁忌の黒魔導書』に、大した因縁もない。

実力も確かである。

問題は、ルイーシュのこの性格だけだな。

「これあれっしょ?俺達がやらされるパターン」

「そんなパターン嫌なんですけど。俺は、魔導部隊の隊舎でふんぞり返ってるだけで、給料をもらいたい」

清々しいほど素直だな、お前は。

いっそ天晴れである。

「まぁ、キュレム君とルイーシュ君が引き受けてくれたら、有り難いけど…」

「え~…。やだー面倒臭い…」

ぐでーん、とデスクに突っ伏すルイーシュ。

あーあ…。

「…学院長。大変このぐうたら野郎をひっぱたいて、そんな大役を引き受けるだけの責任は、俺にはないです」

これには、キュレムも真顔で拒否した。

無理もない。

「う、うん…」

「じゃあどうしようか?」

「…えっと、俺、行きましょうか?」

次に名乗りを上げたのは、吐月である。

吐月は悪くないかもしれない。

実力が確かなのはもとより、吐月は『禁忌の黒魔導書』に何の因縁もない。

「吐月君、か…。良いね、実力も申し分ない…けど」

「けど?」

「吐月君は召喚魔導師だからね…。相性補完が出来るパートナーを選ぶのは、難しいね」

「あ…」

…そういえば、そうだったか。

吐月の実力は誰もが知るところ。

だが、吐月の強みは、魔物であるベルフェゴールを召喚し、ベルフェゴールと共に戦うこと。

普通の魔導師とは、戦闘スタイルが大きく異なる。

その点、『死火』を…月読を使う無闇も同じなのだが。

召喚魔導師は、元々魔導師と魔物で二人一組みたいなところがあるので、そこに更に誰かとペアを組ませると、実質三人組になる。

…逆に、戦術が立てにくくなるパターンだな。

そういう点では…吐月と無闇は、選択肢から除外した方が良いのかもしれない。
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