神殺しのクロノスタシス2
…ついでに言うと。

「…僕も、あまり戦力にはなれないと思う」

エリュティアが、ハッキリと言った。

…そうかもしれないな。

エリュティアの何よりの強みは、探知魔法の正確さだ。

それ以外の魔法も、ここにいる他の魔導師に引けを取らないのだが。

それでも、やはり探知魔法特化のエリュティアでは、いざというときに火力に欠ける可能性がある。

だったら…。

「…一応この中では年上の方だから、敢えて意見させてもらうが」

ジュリスが、そう前置きして。

「お互いの相性補完云々、『禁忌の黒魔導書』との因縁その他諸事情を考えて、現実的にペアを組めるのは、二組だ」

…二組…。

「まず一組目。俺とベリクリーデ」

ジュリスとベリクリーデ。

確かに、悪くない組み合わせだ。

ベリクリーデは前述の通り、やや粗削りなところのある魔導師だが。

ジュリスは見た目に反して、非常に熟練した魔導師である。

シュニィほどの精密さこそなくても、汎用性の高い魔導師だから、ベリクリーデのサポートも問題ないだろう。

「そして、もう一組…。もう皆、分かってると思うが」

うん。

「シルナ学院長と、羽久だ」

…うん。

「ついでに意見しておくと、ペアを組んだ経験のない俺とベリクリーデより、普段から一緒に行動している学院長と羽久の方が、万一の場合にも臨機応変に対応出来ると思う」

「…」

…全く以て、正論以外の何物でもないな。

「でも学院長と羽久いなくなっちゃったら、学院の授業、どうするの?」

と、ベリクリーデ。

「元々学院長は、本体じゃなくて分身が授業してる訳だし…。分身でカバー出来ないところは、ここにいる魔導師達で対応出来るだろ」

むしろ、いつもはシルナ分身の授業ばかり受けているから。

他の魔導師から教わるのも、生徒にとっては刺激になって良いかもしれない。

学院の運営についても、イレースがいてくれるし。

「どう思う?学院長先生」

「…まぁ、そうなるだろうな~と思ってたよ」

苦笑いのシルナ。

「羽久は?良い?」

「…シルナが行くって言うなら、仕方ないだろ」

そいつを一人で行かせるより、ハナから付き合った方がよっぽどマシってものだ。
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