神殺しのクロノスタシス2
…それで。

学校からも家からも追い出され、齢14歳でホームレスになった、と。

…なんとも気の毒な少年である。

「とりあえず、シャワー浴びておいでよ。学生寮にシャワールームあるから」

だな。

大変言いにくいが、長らく放浪の旅をしていたせいで、独特のヤバい臭いがする。

これからどうするかはともあれ、まずは身綺麗にしてもらおう。

「でも、着替えが…。着た切りなんで…」

「あ、そっか…。羽久どうしよっか、着替え」

「生徒の制服、余ってる奴あるだろ。ひとまずあれ着てもらえよ」

「だね」

生憎うちも、同じ年頃の少年少女が大勢いるもんで。

予備の制服くらい、いくらでもある。

「あ、どうも…。ありがとう」

「良いんだよ気にしないで。大丈夫だからね」

シルナにしてみれば。

13歳や14歳の少年少女なんて、うちの学院にも大勢いる。

彼らが清潔な格好で、学校に通って、安全に守られて、勉強しているのに。

片や、家から追い出され、食うや食わずでエクトルから、一人ぼっちで王都までやって来た少年もいる。

そう思うと、放ってはおけないのだろうな。

その気持ちは分かる。

と同時に、無慈悲にも家から追い出した令月の両親に、憤りのようなものを感じてしまうのだ。
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