神殺しのクロノスタシス2
「いや、ちょ、令月君?」
「お世話になりまーす」
ぺこり、とお辞儀。
「いやお世話になりますじゃなくて!」
「とりあえず、窓の掃除から始めよう」
「ちょっと待ってー!」
「何を?」
「それはこっちの台詞だよ!」
何を言い出すかと思ったら。
この家出少年…いや、正確には家出したのではないのだが。
いきなり何を言い出すんだ。
「ここで働かせてって…」
「駄目?無理?この際何でもやるよ?」
その意気込みは買うが。
「あのね、令月君」
シルナは、令月の両肩をガシッと掴んだ。
「君はまだ子供だ。そして子供は、保護と教育を受ける権利がある」
「へー」
そんな他人事みたいに。
お前の話をしてるんだぞ。分かってるのか?
「だったら、ここで保護して教育してよ」
何故そうなる?
この少年の思考回路が、全然分からない。
誰か。誰かナジュを呼んできてくれ。
今こそあいつの性悪魔法の使い時だ。
何で肝心なときにいないかな、あいつは。
「いやでも、君には家族が、」
「いないよ。『お前なんかスタングラーク家の人間じゃない』って言われたし」
それは同情する。
同情するけれども。
「他に僕を受け入れてくれる場所もなさそうだし、折角だからここで働くことにする」
その度胸も買うが。
何故そうなる?
「いや、あのね、働くって言っても…」
「やることないの?」
「…ない訳じゃないけど…」
何せこの学院、四人しか教師がいないからな。
しかも一人は現在不在中。
ついでにそいつは、暇さえあれば人の心を読むという悪癖持ち。
で、もう一人は唯一の女性教師。
事務的な仕事は、彼女がほとんど対応してくれている。
イレースに頭が上がりません。
あとの仕事は、全部シルナ分身が行っている。
でも、所詮はシルナの分身。
本物の人間ではない。
授業を担当するだけでなく、その他学院の管理、雑用、いくらでもやることはある。
何なら、職員室のごみ捨てでさえ、分身がやらなきゃならないからな。
その皺寄せの為に、イレースが頭を抱えていることも知ってる。
「僕、ここで住み込みで働くよ。給料は要らないから、何か雑用させて」
その申し出は、正直有り難いと言えば有り難いのだが…。
「そ、そう言われても…」
「家には帰りたくない。施設にも行きたくない」
令月少年は、はっきりそう言った。
「そんな訳で、今日からよろしく」
「…」
…よろしくって、お前。
開いた口が塞がらないとは、このことである。
「お世話になりまーす」
ぺこり、とお辞儀。
「いやお世話になりますじゃなくて!」
「とりあえず、窓の掃除から始めよう」
「ちょっと待ってー!」
「何を?」
「それはこっちの台詞だよ!」
何を言い出すかと思ったら。
この家出少年…いや、正確には家出したのではないのだが。
いきなり何を言い出すんだ。
「ここで働かせてって…」
「駄目?無理?この際何でもやるよ?」
その意気込みは買うが。
「あのね、令月君」
シルナは、令月の両肩をガシッと掴んだ。
「君はまだ子供だ。そして子供は、保護と教育を受ける権利がある」
「へー」
そんな他人事みたいに。
お前の話をしてるんだぞ。分かってるのか?
「だったら、ここで保護して教育してよ」
何故そうなる?
この少年の思考回路が、全然分からない。
誰か。誰かナジュを呼んできてくれ。
今こそあいつの性悪魔法の使い時だ。
何で肝心なときにいないかな、あいつは。
「いやでも、君には家族が、」
「いないよ。『お前なんかスタングラーク家の人間じゃない』って言われたし」
それは同情する。
同情するけれども。
「他に僕を受け入れてくれる場所もなさそうだし、折角だからここで働くことにする」
その度胸も買うが。
何故そうなる?
「いや、あのね、働くって言っても…」
「やることないの?」
「…ない訳じゃないけど…」
何せこの学院、四人しか教師がいないからな。
しかも一人は現在不在中。
ついでにそいつは、暇さえあれば人の心を読むという悪癖持ち。
で、もう一人は唯一の女性教師。
事務的な仕事は、彼女がほとんど対応してくれている。
イレースに頭が上がりません。
あとの仕事は、全部シルナ分身が行っている。
でも、所詮はシルナの分身。
本物の人間ではない。
授業を担当するだけでなく、その他学院の管理、雑用、いくらでもやることはある。
何なら、職員室のごみ捨てでさえ、分身がやらなきゃならないからな。
その皺寄せの為に、イレースが頭を抱えていることも知ってる。
「僕、ここで住み込みで働くよ。給料は要らないから、何か雑用させて」
その申し出は、正直有り難いと言えば有り難いのだが…。
「そ、そう言われても…」
「家には帰りたくない。施設にも行きたくない」
令月少年は、はっきりそう言った。
「そんな訳で、今日からよろしく」
「…」
…よろしくって、お前。
開いた口が塞がらないとは、このことである。