神殺しのクロノスタシス2

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 第三部3章 (2/39)

「えーっと、あのレジュメ何処やったっけな…」

次の、時魔法の座学で行うレジュメ…。確かこの辺に、

「これだよね、羽久」

すささっ、素早くクリアファイルを持ってくる令月。

「あ、それだ…。どうも…」

「どういたしまして」

何て言うか…あいつ、あれだな。

「じゃ、僕は掃除してくるんで。何かあったら呼んで」

「あ、うん…」

ゴム手袋を嵌め、片手にモップを、もう片方の手にバケツを持ち。

すささっ、と素早く去っていく令月。

…仕事はっや…。

「何だかんだ、彼がいてくれて助かりますね」

と、イレース。

イレースが他人を褒めるとは、珍しい。滅多にないことだぞ。

「見てくださいこの窓。新品みたいにぴかぴかですよ」

「本当だ…」

令月少年が、徹底的に掃除してくれたお陰である。

学院内が、格段に綺麗になった。

廊下なんて、舐められるんじゃないかってくらい綺麗。

あの綺麗好きなイレースが褒めるくらいなのだから、彼がどれほど凄いか、分かってもらえることだろう。

令月少年は、ここイーニシュフェルト魔導学院で衣食住の世話になりながら、小間使いさながら働くようになった。

何故かLサイズの制服を頑なに着ているのと、俺達に対してタメ語なのが、不思議なのだが。

まぁ、正直言うと、これが意外に結構助かってる。





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