神殺しのクロノスタシス2
あ?

「び、びっくりした~。どうしたの君達?」

時計を見ると、時刻は既に夕方。

いつの間にか、放課後になってたか。

「学院長先生に、突撃取材で~す」

女子生徒三人が、メモ帳とペンを片手に、わらわらとシルナの周りに集まってきた。

突撃取材…?

「ベルカちゃん、アスミちゃん、それにフウカちゃん…」

あぁ、この子達見たことある。

五年生と四年生の、新聞部の生徒達だ。

イーニシュフェルト魔導学院では、普通の中学校、高校のように、部活動やサークル活動が出来る。

大抵の生徒は、雷魔法研究部とか、探知魔法同好会とか、自分の得意な魔法を研究するサークルが多いのだが。

中にはこうして、普通の中高にもありがちな部活動に参加している生徒もいる。

ちなみに、掛け持ちも可。

どの部活動に参加するか、あるいはどの部活動にも参加しないかは、本人達の自由である。

で、この子達は新聞部の生徒なのだが…。

「どうしたの、君達…」

シルナが尋ねると、新聞部の仲良し三人組が。

「実はこの春、一年生が入部してきまして」

「期待の新入部員なんですよ!しかも男の子!」

「もー嬉しくて、ここは是非スクープを入手したくなっちゃいました!」

さすが新聞部魂。

嬉しいとスクープが欲しくなるのか。

何か書きたいのか。特ダネ的な何かを。

「そこで新入部員君に、尋ねてみたんです」

「どんなネタが書きたい?って」

「そしたら、『シルナ学院長のスクープを書きたい』って!」

物好きな新入部員だ。

まぁ、入ってきたばかりの新入生なら、シルナに興味を持つのは無理もないか。

一応この人、巷では「伝説の魔導師」とか何とか言われてるもんな。

実物はこんななんだけど。

「それじゃあ早速突撃取材しよう!ってことで、来たんですけど」

「新入部員君は、畏れ多くて学院長に突撃取材するのは無理だって」

「仕方ないので、ここは私達先輩三人が、代わりに取材に来ました!」

…言い出しっぺ本人は来なくて、先輩達が来るのか。

まぁ、何度も言ってる通り、新入生はまだシルナに対して恐れがあるみたいだし。

突撃取材で変なことを聞いて、怒らせたらどうしよう…とか、不安になるのかもしれない。

別に何を聞いても良いと思うけど。

「そんな訳なので学院長!」

「取材させてください!」

「私達に特ダネをください!」

さすが新聞部の精鋭。押しが強い。

ぐいっぐい攻めてきてる。

「わ、分かった。分かったよ…。何でも聞いてくれて良いよ」

押しに負け、シルナは生徒達の要求を受け入れた。

すると、新聞部部長、ベルカの目がキラリ、と光った。
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