神殺しのクロノスタシス2
前のページへ
第三部3章 (25/39)
元旦の朝。
初詣に行く者もあり、寝正月とばかりにダラダラ過ごす者もあり。
年末年始関係なく出勤する者もあり、朝から餅焼いて食ってる奴もあり。
…で、ここにいるのは。
「おはよう皆!お汁粉あるよ!食べよ!」
今年一番に口にする食べ物が、お汁粉だった人って、多分あんまりいない。
そこは普通、雑煮かお節だろ。
何でお汁粉?
「美味しいねぇ。お汁粉甘くて美味しいねぇ」
幸せそうな顔で、たっぷりお汁粉に浸した餅を、もち~っと食べてる学院長。
そこに、イーニシュフェルト魔導学院学院長としての威厳は、全くない。
ただの、お汁粉食ってるおっさん。
「羽久が私に失礼なこと考えてる気がするけど…。お汁粉美味しいから良いや…」
「そうか」
それは何より。
で。
「イレースは何処だよ?」
「初日の出見に行くって」
「へぇ」
乙なもんだな。
そこで、こたつでぬくぬくとお汁粉食ってるおっさんも見習ってくれよ。
初日の出かぁ…。俺も行けば良かったかな。
まぁ良いや。
「それで?ナジュはどうした」
と、聞くと。
いきなり、足首を何者かにガシッと掴まれた。
あ?
「僕を呼びましたか、羽久さん」
「…お前は、猫か」
何で元旦の朝一番から、こたつでぬくぬく寝てるんだよ。
お前、寝正月する気満々だな?さては。
「だって合宿で散々寒い思いしたし…。正月くらい、ダラダラ生きてたって良いじゃないですか」
はいはい。あーそうですか。
「それより学院長、二人にもお年玉を」
「あぁ、そうだったそうだった。お汁粉と一緒に渡そうと思ってたんだよ」
は?
「はいっ、これ羽久のお年玉。で、はいっ、これ令月君のお年玉」
唐突に、お年玉を渡された。
令月はともかくとして、何で俺の分まであるの?
次のページへ