神殺しのクロノスタシス2
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第三部3章 (26/39)
「…お年玉…」
人生で初めてお年玉もらったみたいな顔で、ポチ袋を奇妙な目で見つめる令月。
大丈夫だ。ただのお年玉だから。
「それからお汁粉、お汁粉!二人共お餅二つ食べるよね?」
「二つも要らないよ。一個でい、」
「もう四つ焼いちゃった」
おい。
俺は別に、そんなお汁粉大好きじゃないんだぞ。
大体元旦一番に食べるものが、お汁粉って。
そんな家って何軒あるのかなぁ。
「…」
令月は、無言でポチ袋を眺めている。
…そんなに面白いか?ポチ袋が。
「心配しなくても、誰も取らないよ」
「いや、誰かに取られるとかじゃなくて…」
「じゃあ何だよ?」
「良いの?僕までもらって。僕何もしてないのに」
また難しいことをわざわざ考えてる奴だな、お前は。
何て言うか、子供らしさが皆無。
もっと素直に喜べ。シルナほどはしゃがれたら、さすがに鬱陶しいが。
それでもちょっとは素直に喜べ。
「お前は子供なんだから、お年玉もらって喜んで良いんだよ」
「…ふーん…」
腑に落ちてなさそうな顔。
すると、そこにナジュが。
「羽久さんは僕にお年玉くれる予定は?」
「全くない」
どんだけ厚かましいんだお前は。
大人顔負け。
すると。
「戻りましたよ」
初日の出を見に行っていたイレースが、学院に戻ってきた。
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