神殺しのクロノスタシス2

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 第三部3章 (27/39)

「あ!イレースちゃん良いところに!今お汁粉作ってるんだよ、イレースちゃんも要るでしょ?」

「私は朝からお汁粉なんて食べませんよ。自分でおせちと雑煮を…」

「分かったお餅二つね!了解!」

人の話を全然聞かない系学院長、シルナ。

「…」

イレースのこめかみに、ピキッ、と血管が浮き出たが。

正月早々揉めるのも憚られたのか、結局溜め息をついてこたつに入った。

すると、そこにまたしてもナジュが。

「イレースさんは僕にお年玉くれる予定は、」

「ありません」

ですよねー。

「あぁ酷いなぁ…。お年玉って子供の特権みたいに言われてますけど、あれって実際家庭によって違いますよね」

いきなり、何を言い出すんだナジュは。

珍しく、そんな真顔で。

「『銀行に預けておくよ』とか言ってこっそりくすねる親とか、『将来の為に貯めとくの!』って取り上げる親とか」

「あぁ…」

「そして結局、全額学費に回されてたりするんですよ?最悪生活費の足しにされるんですよ?あれっておかしくありません?腑に落ちないですよね。もらったのは子供なんだから、そこに親が介入する余地ってあります?」

何?このお年玉談義。

そりゃまぁ家庭によって様々だろうよ。

「兄弟親戚が多かったら、もらえるお年玉の額も変わるだろうし…。あんまり多過ぎたら、親がある程度取り上げるんじゃねぇの?」

一族郎党集まったら、計10万円くらいもらいました!って家もあるだろうし。

あ、うち核家族なんで。年末に帰省とかないんで。って家もあるだろうし。

そうなると、子供がもらえる額も変わってくるだろう。

金額如何に関わらず、全額取り上げるのは、ちょっと可哀想過ぎる気がする。

しかし。

「そんなことはどうでも良いんですよ。はい、令月さん」

「はい?」

「お年玉です」

「…」

本日二回目の、令月のぽかーん顔である。





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