神殺しのクロノスタシス2
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第三部3章 (28/39)
「えっ。ちょっとズルくないですか?僕にはないのに令月さんにはあるって」
抗議するナジュ。
「年の差を考えなさい。令月さんはまだ子供でしょう」
「えぇ~。なんか腑に落ちな~い。僕も頑張ってるのにぃ」
何をだよ。
「色々ですよ」
心を読むな勝手に。
それから。
もう、ついでに渡しとくぞ。
「ほら、令月。後れ馳せながら俺からもお年玉」
「えあ、は…?」
大変混乱しているらしい令月少年。
もらうの初めてなんだろうな。
「…僕、何もしてないのに…」
「何もしてないって、お前子供だろ。お年玉もらえるのは子どもの特権なんだから、遠慮なくもらっとけ」
「でも、何に使えば良いのか分からないよ」
「好きなもの買えば良いじゃん」
「…好きなもの…」
何か思い当たる節はあったか?
これ欲しいな~と思ってたものとか。
さすがに家とかは買えないが。
ちょっとしたものなら、買えるんじゃないか?
君、金銭感覚大丈夫なタイプ?
「好きなもの…好きなもの…」
考えてる考えてる。
すると、そこに。
「お待たせ~っ!お汁粉出来たよー!」
全く空気を読まない系学院長、シルナ。
おい。今良いところだったんだけど?
全部台無しにされた。
「お前は最低だな、シルナ」
「え!何で!?私何か悪いことした!?お餅焼いちゃ駄目だった?煮る派だった!?」
汁粉の話じゃねぇから。
まぁ良い。
お年玉の使い道なんか、ちょっと考えたらすぐに見つかる。
「ほら、令月。お汁粉だってさ」
「…お汁粉…」
目の前で湯気を立てるお汁粉を、不思議そうに眺めている令月。
こいつ、食べたことあんのかねお汁粉。
「熱いから気をつけて食べてね!」
で、何でお前はちゃっかり二杯目を食べようとしてんの?
「正月太り確定系学院長ですね」
「全くだ」
冬休み明け、まるまる太ってても知らないからな、俺は。
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