神殺しのクロノスタシス2

前のページへ
 第三部3章 (38/39)

10キロを走破し、何とか学院まで戻ってきた。

「はーっ…疲れた…」

イレースの言うことも、案外間違ってないな。

肉体強化は大事だ。

そりゃアトラスみたいに、頭の中まで筋肉で出来た生徒ばかりになったら、校舎が崩壊するが。

ある程度の基礎体力は必要だ。

それを思い知らされた。

で、結果どうなったかと言うと。

俺は当然、入賞からは程遠く。

優勝したのは、学院の陸上部で長距離走を選択している生徒。

準優勝もしかり。

まぁ、彼らの本業みたいなもんだから、それも当然か。

で、三位は。

「あなた達軟弱ですよ。女に負けて悔しくないんですか」

走りきるなり、グラウンドで伸びている生徒に説教する、イレース。

女性の中では、イレースが一番だったらしい。

さすがはラミッドフルスの鬼教官。貫禄が違う。

すると、そこに。

「お疲れ様」

「おー…。令月…」

スポーツドリンクを差し入れてくれた、令月である。

お前良い奴だな。

冷たいスポーツドリンクが、今だけは身体中に染み渡るようだ。

明日、筋肉痛必至だな。

「お前の方が先に着いてたんだな」

「うん。見てこれ」

令月は、10位入賞の賞状を見せてくれた。

マジかよ。嘘だろ。

「入賞したのか、お前…。やるな」

「うん」

凄いな。

短距離の方が速いって言ってたけど、意外と長距離も行けるんじゃないの。

「お前陸上部入ったら?」

「陸上部?何で」

「足も速いからだろ」

「でも僕、普通の生徒じゃないのに」

何だそれは。

普通じゃない生徒がいるのか。この世に。

「お前みたいなケースは稀だから、自覚ないのかもしれないけど。でもお前は、立派な…」

「お話し中失礼」

「あ?」

ナジュが、賞状片手にやって来た。

マジ?ナジュまで入賞してるの?

表彰される10人のうち二人が教師陣って。

それどうなの?

「ちなみに僕は七番です。ラッキーセブン」

はいはいおめでとう。

どうせ俺は、足遅いですよ。

それでも走りきったんだから、褒めてくれ。






次のページへ
< 639 / 742 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop