神殺しのクロノスタシス2
「ではまず、最初の質問です!」

と、部長ベルカ。

「何かな~?」

まだまだ余裕のシルナ。学院長の威厳を見せていく。

しかし、お前の生徒の質問は、お前の予想を遥かに越えていた。

「ずばり、学院長先生に彼女はいますか!?」

「ぶはぁっ!」

俺も噴き出すかと思った。

女子高生の考えることと言ったら、相場はそんなもんだ。

「な、な、なんて、なんてことをっ…!」

「いるんですか?」

「いるんですか?」

「いるんですかっ?」

ジェットストリーム「いるんですか?」。

「は、はれっ…。破廉恥な、質問を、するんじゃありません!」

顔が真っ赤のシルナ。

この時点で、学院長の威厳、ゼロ。

「でも、学院長先生。何でも聞いてくれて良いよって言いましたよ」

「うぐっ…!」

自分の言ったことは…守らなきゃならんよなぁ。

うん。これは新聞部三人が正しい。

うっかり口を滑らせたシルナが悪い。

「さぁ答えてください!彼女さんいるんですか!?」

「いっ…い、い、いません!私はストイックで、プラトニックな学院長です!」

ちなみに、こいつに彼女がいないのはマジである。

「いないんですか~…。えー…」

「つまんないですねぇ…」

「良いネタになると思ったのに…」

あからさまに落胆する、パパラッチ三人組。

生徒相手に、と思われるかもしれないが。

下衆だな。

女子高生は素直だ。

「じゃあ、質問を変えますね」

「うん…。変えてください、切実に…」

「片思いしてる相手はいますか?」

「そうじゃない!そういう方向に変えて欲しい訳じゃない!」

結局、恋愛事情を聞きたいのは変わらないんだな。

「噂では、イレース先生に気があるとかないとか…?」

「誰!?そんな噂流したの!」

「普段は尻に敷かれてるように見えて、実はそれを楽しんでるとか…」

「私はマゾなの!?」

「イレース先生に振り向いてもらおうと、色々画策しているとか何とか…」

「そっ…そんな、噂は、出任せです!事実無根!真っ赤な嘘です!」

シルナ、必死。

一つ言っとくが、こういうときムキになると、否定じゃなくて肯定に見えるからな。

まぁ、俺は黙っとくけどさ。
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