神殺しのクロノスタシス2
誰を、何人殺してきたかなんて、覚えていない。

誰だってそうでしょ?

毎日食べてるパンの枚数とか、いちいち数えたりしないでしょ?

それと同じなんだ。

僕は殺した。たくさん殺した。

僕は小柄で、子供で、幼く見えるそうだから。

近づくのは簡単だった。

「そういう趣味」のターゲットは、特に簡単。

ちょっと演技すれば、すぐにベッドの上に誘導出来る。

「そういう趣味」じゃない時はどうするかって?

そんな時はカツラをつけて、女装してターゲットに近づいた。

要するに、どんな手段を使ってでも、ターゲット二人きりになれば良いのだ。

そうしたら、殺すのは簡単。

僕にとって、人を殺すことは日常だった。

朝起きて、朝ごはん食べて、家を出て。

お仕事をして、また帰ってきて、夕ごはん食べて、お風呂入って寝るのと一緒。

朝殺して、昼殺して、夜も殺す。

罪悪感はないのかと、たまに聞かれる。

罪悪感はない。

だって僕は、頼まれて仕事をしているだけだから。

ターゲットに恨みがある訳じゃないから。

恨むなら、僕に依頼を持ってきた依頼人を恨んでよ。

ちなみに。

僕が所属している暗殺組織は、ルーデュニア聖王国じゃない。

ルーデュニアの、お隣さんってところか。

名前は、ジャマ王国。

僕はジャマ王国裏社会の、暗殺専門組織『アメノミコト』の一員なのである。





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