神殺しのクロノスタシス2
…あぁ。

これが、今回のターゲットなのか。

「この男はルーデュニア聖王国、イーニシュフェルト魔導学院の学院長だ」

「御意」

「この男を殺してこい。手段は問わん」

「御意」

これで、僕のやるべきことが決まった。

「あの国の勢力を担っているのは、その男よ。その男さえ殺してしまえば、ルーデュニア聖王国の裏社会…いや、表社会すら、我らのもの」

「…」

「イーニシュフェルトの犬めが。あの男さえ殺してしまえば…」

「…」

「良いか、必ずこの男を殺してこい。期限は三ヶ月だ。三ヶ月以内に、必ずその男の首を持ってこい。良いな」

「…御意」

僕はいつものように、無表情で答えた。

こうして僕は、パスポートもビザも持たず、ルーデュニア聖王国に不正入国した。

表向きは、「家から追い出されて、帰る場所のない子供」として振る舞い。

王都セレーナにある、イーニシュフェルト魔導学院に近づいた。

ここまでは、大体いつも通り。

それなのに。

僕はそこで、今まで経験したことのない、見たこともない様々な色に出会った。





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