神殺しのクロノスタシス2
しかし。

彼女達のパパラッチ魂は、こんなことでは挫けない。

「ずばり、好きなタイプとかは…?」

「えっ…。えっ…。す…素直な子…かな?」

「恋人に求める条件は?」

「じょ、条件?」

「家庭的な人が良いとか、美人が良いとか」

「や、優しい人なら誰でも良いです…」

その顔面じゃあ、相手に美人を求めるのは傲慢ってものだからな。

美人が良い?お前、まず自分の鏡を見てから言え。って言われるもんな。

「羽久が私に失礼なこと考えてる気がする…」

「気のせいだ」

被害妄想って奴だよ。

「タイプの髪型は?」

「か、髪?」

「ロングヘアが良いとか、ミディアムが良いとか」

「何でも良いよ、髪型なんて…」

何なら生えてなくても気にしないだろうな。

「じゃあ結婚願望は?ないんですか?」

「けっ…。仕事忙しいからなー…。結婚してる余裕が…」

出ました。結婚出来ない人の言い訳。

ちげーだろ。相手になってくれる人がいないだけだろ。

まぁ年齢の問題もあるか。

「子供は?子供欲しいですか?」

「こ…子供ならいるよ。イーニシュフェルトの生徒達は、皆私の子供だよ」

ちょっと良いこと言って、誤魔化した気になってるな。

「じゃあじゃあ、学院長先生に奥さんがいたとしたらー」

「姉御肌の奥さんと、甘えん坊の奥さんだったらー」

「彼女がいたとして、プレゼント渡すとしたらー」

「あわわ…。あわわわわ…」

皆さん。ご覧ください。

生徒の質問攻めによって、パニックになる学院長です。

最終的には。

「そ、そんなこと言われたって…分かんないよ~!」

破廉恥な質問の数々に耐えかねたらしいシルナ。

がばっと立ち上がって、学院長室から逃亡した。

あーあ。逃げた。

「あっ!逃げた!」

「逃がしませんよ!」

「今すぐ追いかけます!」

彼女達のパパラッチ魂、恐るべし。

逃走したシルナを追って、三人も慌ただしく学院長室を出ていった。

…やれやれ。

やっと静かになったよ。
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