神殺しのクロノスタシス2
話を聞く…だと?

「僕は、拷問の訓練を受けて…」

「ふむふむ。鞭、水攻め、火炙り、各種拷問耐性は抜群のようですね」

「…ちっ」

この読心男のせいで、言いたくないことでも、無理矢理暴かれてしまう。

「君はジャマ王国から来たんだね?ジャマ王国の暗殺組織『アメノミコト』の暗殺者なんだね?」

「…」

敵に捕まった場合、ただちに自決せよ。

それが出来なかった場合は、死ぬまで拷問されて、絶対に喋るな。

そう訓練されているから、僕はきつく口を閉じて、何も言わない。

…のに。

「イエスだそうですよ、学院長」

「ありがとう、ナジュ君」

この糞野郎のせいで、全部台無しだ。

「どうして来たの?目的は私?それともフユリ女王陛下を?」

「…」

「いつから、『アメノミコト』にいるの?君の本当の名前は?何て言うの」

「…」

何を聞かれても、絶対に答えない。

でも心の方は、口と違って正直なもので。

「目的はシルナ学院長で、『アメノミコト』に入ったのは幼少期だそうです。あと、名前は令月が本名です」

「お前、もう黙ってろよ!」

「♪♪♪~」

両手が自由だったら、絶対こいつ殴ってる。

人をおちょくるにも程がある。

これじゃあ、黙秘権も使えない。

「ごめんね、本当は時間をかけて、ゆっくり聞きたいところだったんだけど…」

「…」

「…その、制限時間が、そろそろなんだよね?」

「…」

…そう、制限時間。

僕に残された時間は、あと僅かしかない。

それなのに、今の僕の状況は、最悪だ。

こうなっては、最早目的を果たすどころではない。
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