神殺しのクロノスタシス2
認めたくはないが、確かに僕は、極端な力魔法しか使えない、半端者の魔導師だ。
得意なことと言えば、隠れること気配を消すこと、逃げ足が速いこと。
全てが暗殺に繋がる、陰湿なものばかり。
僕から暗殺の才能を取ったら、何も残らないと言っても過言ではないくらいの、役立たず。
味方の足を引っ張り、守られるだけの無能者。
大体一つの魔法しか使えない魔導師なんて、魔導師とさえ呼べない。
ただの、裏切りの暗殺者。仕事の為に、無感情に躊躇いなく人を殺せる殺人鬼。
それも、よその国から来たお尋ね者と来ている。
僕に褒められたところなんて、一つもない。
生まれたときから、ずっとそう。
だけど。
それでも。
それでも僕が、ここに居て良いのなら。
幸せになる為に、生きても良いと言ってくれるなら。
こんなどうしようもない僕に、生きる意味を与えてくれるなら。
僕は。
「自分の居場所は、自分で守りたい。自分の仲間は、自分で守りたい」
僕の目の届くところで、誰一人死なせたくない。
人を殺す才能しかないのなら、せめて。
僕はその才能を、自分の居場所と仲間を守る為に使いたい。
だから。
「学院長と、羽久さんの居場所を教えて」
「…全く、馬鹿の一つ覚えって言うんですかね、こういうの」
何とでも言ってくれ。
僕は、そういう生き方しか出来ないんだ。
「まぁでも、人のこと言えた立場じゃないんで…。教えてあげますよ」
「何処?」
「ただし、教えるには条件が二つあります」
…面倒臭くなってきた。
自分で探しに行った方が速いのでは?
「まぁそう焦らず。条件と言っても、簡単なことです」
「じゃあ一つ目は?」
「僕を読心野郎と呼ぶのをやめてください」
「分かった。不死身君」
それくらいなら簡単だ。
「不死身君…。まぁ読心野郎よりマシか…」
何か不満なのか。
事実じゃないか。
「二つ目は?」
「二度と自分のこと、『人を殺すしか能のない殺人鬼』と卑下しないでください」
「…!」
「…」
「…」
「…何か変なこと言いました?」
「…いや…」
何でもない。
何でもないよ。
ただ、ちょっと、胸が苦しくなっただけ。
「泣きたかったら素直に泣いて良いんですよ。『生きてて良かったと思えた』って。僕相手に、我慢しても無駄なので」
「うるさい。もう行くから、早く教えて」
呼び方、やっぱり読心野郎に戻そうかな。
「だから読心野郎はやめてくださいって。あと、二人は校舎裏です」
やっと聞けた。
「分かった。じゃあ僕は行くよ」
「はい。行ってらっしゃい」
「不死身君」
「何でしょう」
「ありがとう」
「…」
人の心を勝手に読んでるんだから、僕がそう言いたかったことくらい、分かってるだろうに。
何故か不死身君は、ちょっと驚いた顔をして。
「…どういたしまして」
と、答えた。
得意なことと言えば、隠れること気配を消すこと、逃げ足が速いこと。
全てが暗殺に繋がる、陰湿なものばかり。
僕から暗殺の才能を取ったら、何も残らないと言っても過言ではないくらいの、役立たず。
味方の足を引っ張り、守られるだけの無能者。
大体一つの魔法しか使えない魔導師なんて、魔導師とさえ呼べない。
ただの、裏切りの暗殺者。仕事の為に、無感情に躊躇いなく人を殺せる殺人鬼。
それも、よその国から来たお尋ね者と来ている。
僕に褒められたところなんて、一つもない。
生まれたときから、ずっとそう。
だけど。
それでも。
それでも僕が、ここに居て良いのなら。
幸せになる為に、生きても良いと言ってくれるなら。
こんなどうしようもない僕に、生きる意味を与えてくれるなら。
僕は。
「自分の居場所は、自分で守りたい。自分の仲間は、自分で守りたい」
僕の目の届くところで、誰一人死なせたくない。
人を殺す才能しかないのなら、せめて。
僕はその才能を、自分の居場所と仲間を守る為に使いたい。
だから。
「学院長と、羽久さんの居場所を教えて」
「…全く、馬鹿の一つ覚えって言うんですかね、こういうの」
何とでも言ってくれ。
僕は、そういう生き方しか出来ないんだ。
「まぁでも、人のこと言えた立場じゃないんで…。教えてあげますよ」
「何処?」
「ただし、教えるには条件が二つあります」
…面倒臭くなってきた。
自分で探しに行った方が速いのでは?
「まぁそう焦らず。条件と言っても、簡単なことです」
「じゃあ一つ目は?」
「僕を読心野郎と呼ぶのをやめてください」
「分かった。不死身君」
それくらいなら簡単だ。
「不死身君…。まぁ読心野郎よりマシか…」
何か不満なのか。
事実じゃないか。
「二つ目は?」
「二度と自分のこと、『人を殺すしか能のない殺人鬼』と卑下しないでください」
「…!」
「…」
「…」
「…何か変なこと言いました?」
「…いや…」
何でもない。
何でもないよ。
ただ、ちょっと、胸が苦しくなっただけ。
「泣きたかったら素直に泣いて良いんですよ。『生きてて良かったと思えた』って。僕相手に、我慢しても無駄なので」
「うるさい。もう行くから、早く教えて」
呼び方、やっぱり読心野郎に戻そうかな。
「だから読心野郎はやめてくださいって。あと、二人は校舎裏です」
やっと聞けた。
「分かった。じゃあ僕は行くよ」
「はい。行ってらっしゃい」
「不死身君」
「何でしょう」
「ありがとう」
「…」
人の心を勝手に読んでるんだから、僕がそう言いたかったことくらい、分かってるだろうに。
何故か不死身君は、ちょっと驚いた顔をして。
「…どういたしまして」
と、答えた。