神殺しのクロノスタシス2
別に、僕に特別な何かがあった訳じゃない。

同じように売られた子供を、安値でまとめ買いしただけだ。

僕はダース単位で買われた子供達のうちの、一人でしかなかった。

僕達はそこで、暗殺の技術を教え込まれた。

そしてある程度成長してから、あの「学校」に入れられ。

毎月行われる、蠱毒による試験によって。

僕は、生き残った。

そして晴れて、『アメノミコト』の暗殺者として生きることを許され。

いつしか、僕の働きぶりを聞き付けた頭領に、目をつけられた。

それまでは、大勢いる『アメノミコト』の暗殺者の一人だった。

使い捨ての命。使い捨ての駒。

しくじれば、あっという間に殺される、組織にとって大した価値のない暗殺者。

だけど僕は、他の暗殺者とは違った。

僕の暗殺者としての才能は、他の暗殺者から頭一つ抜けていた。

魔導適性はないと思われていたのに、僕は力魔法を使うことが出来た。

誰より上手く仕事をこなせた。

誰より上手く人を殺せた。

自覚はなかった。

前述の通り、『アメノミコト』では、組織の中でも互いの素性は伏せられているから。

でも頭領だけは違った。

頭領は、近しい部下から報告される情報で、僕の抜きん出た才能を知った。

そして、そこから始まった。

頭領に目をかけられた、名誉ある暗殺者にのみ行われる、

地獄のような、訓練が。
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