神殺しのクロノスタシス2
「綺麗事で取り繕っているに過ぎん。結局は、お前の才能を利用されるだけよ。蟲毒の呪いを受けたお前に出来るのは、今までも、これからも、人を殺すことのみ」

「ごちゃごちゃうるせぇよボケ老人」

俺は、ずっと言いたかったことを言ってやった。

何をぐだぐだ言ってやがる。

「てめぇが何を言おうが、負け犬の遠吠えなんだよ。令月はこっちを選んだ。その事実は変わらない」

少なくともお前のところよりは、こっちの方が良いって言ってんだよ。

当たり前だろうが。

お前らの常識なんざ、知ったことか。

「尻尾巻いて、さっさと巣に帰れ」

「…いずれにせよ、お前は『アメノミコト』を裏切った」

まだぐだぐだ言ってやがる。

「我らを敵に回したこと、後悔することになるぞ。シルナ・エインリー。そして聖魔騎士団の呪い師共」

「耄碌してんなジジィ。お前らの組織の暗殺者とやら、うちの『呪い師』にボコボコにやられてるみたいだが?」

ベリクリーデなんて、お宅らの刺客を、文字通りお星様にしたと聞いてるが。

屋上では、ルシェリート一家が仲良くピクニック状態だ。

その体たらくで何を言われても、こちらとしては笑止千万なんだが?

「あ奴らごときを倒して喜んでいるようでは、聖魔騎士団も大したことはないというものよ」

…あ?

何だお前。

「所詮奴は四天王の中でも最弱…」的な台詞を、まさかこんな糞ジジィに言われるとは。

RPGゲームでもやってんのか。

「本気の『アメノミコト』は、こんなものではない」

「それ、負けフラグの台詞だって知ってるか?」

そんな台詞吐いて、マジで向こうの方が強かった、なんてシチュエーション、ないから。

所詮お前ら、やられ役だから。

負け犬だから。

「ごめんボケてるから知らないんだよな。さっさと老人ホーム帰れ。よその国まで徘徊してきてんじゃねぇ」

認知症に加えて、中二病まで拗らせてるとご御愁傷様だな。

うちのシルナの、千倍は酷いわ。

いや、シルナと比べるのもおこがましいレベル。

こいつに比べりゃ、シルナの痴呆ぶりは、まだ可愛いもんだ。

「…羽久が、敵をディスりながら、遠回しに私に失礼なことを言ってる気がする…」

お前ちょっと黙っててもらって良いかな。

「失せろジジィ。二度と来るな」

「…」

ボケ老人は、醜い捨て台詞の代わりに。

醜い笑みを浮かべ。

まるで霧が晴れるように、一瞬でその場から消えた。
< 707 / 742 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop