神殺しのクロノスタシス2
…やっと老人ホームに帰ったか。
「このまま棺桶に入ってくれねぇかな…」
そうしたら、万事解決なんだけどな。
まぁ、そんなことはどうでも良いか。
帰ったんだから。尻尾巻いて。
それより。
「…お前な、泣くなら声をあげて泣けって。何も恥ずかしいことじゃないぞ?」
「…んー…」
駄目か。
まぁ、いきなり慣れないこと言われても、出来ないよな。
何せ、今まで泣いたことないんだから。
「もう大丈夫だからね、令月君。君は偉いよ。立派だ。ちゃんと正しい方を選んだ。偉い偉い」
シルナが、よしよしと撫でてやると。
更にぼろぼろ泣くもんだから、もう俺の服ぐちょぐちょ。
クリーニング代は、とりあえずシルナ持ちな。
泣かしたのシルナだし、妥当だろ。
「…しゅ、せいれ」
あ?
令月が、ぼろぼろ泣きながら、何か言った。
何て言ったのか分からない。母国語か。
「なんて?」
「ぼ、く、のせいで、てき…。しゃまおう、王国、てきに…」
あぁ。何となく分かった。
自分のせいで、実質ジャマ王国を敵に回してしまったことを言ってるんだな?
大袈裟ではない。
これは、確かに国際問題だ。
『アメノミコト』は、ジャマ王国裏社会の支配者。
奴らがジャマ王国で、どれほど覇権を握ってるのかは知らないが…。
裏社会の支配者ともなれば、実質ジャマ王国そのものを敵に回した、と言っても過言ではない。
この年端も行かない、泣き方も知らない少年一人を巡って、「ルーデュニア聖王国・ジャマ王国」国際間に亀裂を入れてしまったのだ。
これは、フユリ様にも報告しなければならないな。
でも。
「子供が心配することじゃない。そんな難しいことはな、ここにいる…そう、おっさんにでも任せておけば良いんだよ」
「え。私?」
私に決まってるだろアホか。
「僕の、せいで、人が、いっぱい死ぬ…」
「大丈夫だ。お前のせいじゃない」
こいつの六法全書には、未成年保護法的なものがまとめて削除されてるらしいな。
「良いか、よく聞け令月」
俺は、令月の額にコツン、と自分の額を合わせた。
声もあげずに泣くこの少年に、俺がどれだけのことをしてあげられるだろう。
考えるな。
何でもしてやれば良い。自分の出来ること、全部してやれば良い。
「何も、何も心配しなくて良い。全部大丈夫だ。絶対何とかしてやるから。絶対守ってやるから。もう二度と、絶対怖い思いも痛い思いもさせないから」
「…んん」
「生きろ。何も考えずにただ生きろ。難しいことは何も考えずに、生きてるだけで良いんだよ」
分かったか、この大人ぶりっこが。
「このまま棺桶に入ってくれねぇかな…」
そうしたら、万事解決なんだけどな。
まぁ、そんなことはどうでも良いか。
帰ったんだから。尻尾巻いて。
それより。
「…お前な、泣くなら声をあげて泣けって。何も恥ずかしいことじゃないぞ?」
「…んー…」
駄目か。
まぁ、いきなり慣れないこと言われても、出来ないよな。
何せ、今まで泣いたことないんだから。
「もう大丈夫だからね、令月君。君は偉いよ。立派だ。ちゃんと正しい方を選んだ。偉い偉い」
シルナが、よしよしと撫でてやると。
更にぼろぼろ泣くもんだから、もう俺の服ぐちょぐちょ。
クリーニング代は、とりあえずシルナ持ちな。
泣かしたのシルナだし、妥当だろ。
「…しゅ、せいれ」
あ?
令月が、ぼろぼろ泣きながら、何か言った。
何て言ったのか分からない。母国語か。
「なんて?」
「ぼ、く、のせいで、てき…。しゃまおう、王国、てきに…」
あぁ。何となく分かった。
自分のせいで、実質ジャマ王国を敵に回してしまったことを言ってるんだな?
大袈裟ではない。
これは、確かに国際問題だ。
『アメノミコト』は、ジャマ王国裏社会の支配者。
奴らがジャマ王国で、どれほど覇権を握ってるのかは知らないが…。
裏社会の支配者ともなれば、実質ジャマ王国そのものを敵に回した、と言っても過言ではない。
この年端も行かない、泣き方も知らない少年一人を巡って、「ルーデュニア聖王国・ジャマ王国」国際間に亀裂を入れてしまったのだ。
これは、フユリ様にも報告しなければならないな。
でも。
「子供が心配することじゃない。そんな難しいことはな、ここにいる…そう、おっさんにでも任せておけば良いんだよ」
「え。私?」
私に決まってるだろアホか。
「僕の、せいで、人が、いっぱい死ぬ…」
「大丈夫だ。お前のせいじゃない」
こいつの六法全書には、未成年保護法的なものがまとめて削除されてるらしいな。
「良いか、よく聞け令月」
俺は、令月の額にコツン、と自分の額を合わせた。
声もあげずに泣くこの少年に、俺がどれだけのことをしてあげられるだろう。
考えるな。
何でもしてやれば良い。自分の出来ること、全部してやれば良い。
「何も、何も心配しなくて良い。全部大丈夫だ。絶対何とかしてやるから。絶対守ってやるから。もう二度と、絶対怖い思いも痛い思いもさせないから」
「…んん」
「生きろ。何も考えずにただ生きろ。難しいことは何も考えずに、生きてるだけで良いんだよ」
分かったか、この大人ぶりっこが。