神殺しのクロノスタシス2
「…分かりました」

女王に対し、ここまで個人的な、踏み入った頼み事をするなど。

そんな大胆なこと、シルナでもなければ出来ない。

だから令月が、色々心配して泣いていたのだ。

自分のせいで、自分のせいでって。

だが、令月のせいにはさせない。

例えフユリ様と学院の関係が悪くなろうとも、令月を救ってみせる。

その為に、俺達が来たのだ。

「顔を上げてください、シルナ学院長。あなたの意見を尊重します」

「フユリ様…」

「私が浅慮でした。あなたがそう仰るのは、黒月令月を守る為…ですね?」

「…畏れながら」

その為なら、女王の意図に反することも平気で言う。

全く命知らずの学院長だ。

「分かりました。私の方から、ジャマ王国に公式に干渉するのは控えます」

「…感謝します、フユリ様」

良かった。

これで、令月は救われる。

「それで…黒月令月さんについてはどうしましょう?ルーデュニア聖王国の未成年保護法に則って、仮国籍を発行し、児童養護施設に…」

「いえ、それに関しては、私から提案がありまして」

シルナは、いつもの(胡散臭い)笑顔で、フユリ様に提案した。
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