神殺しのクロノスタシス2
「うん、なかなか良い感じだよ」
「あ、ありがとうございます!」
初めて受ける、羽久・グラスフィアの実技授業。
生徒達は、皆緊張していた。
勿論、僕も。
まぁ、僕は別の意味での緊張だが。
「はい、じゃあ次」
「はい」
僕は、羽久・グラスフィアの前に出た。
杖を握り、魔導人形と対峙する。
よりにもよって、風魔法の実技だなんて。
僕の、二番目に得意な魔法じゃないか。
うっかり本気を出してしまったら、どうしてくれるんだ。
さぁ、手を抜いて。
でも、本気を出している振りをして。
怪しまれないように。
僕は一つ深呼吸して、杖に魔力を込めた。
「dinw」
適度に調節された魔法が、魔導人形に放たれた。
放った瞬間、やり過ぎた、と思った。
おぉ、とクラスメイトから歓声があがる。
ちょっと、力を出し過ぎた。
魔導人形の先っちょの方が、少し剥げてしまった。
やってしまったものは、仕方ない。
僕は動揺している様を見せず、羽久・グラスフィアに向き直った。
彼が何を考えているか、見なくては。
「へぇ…。一年生にしちゃ、なかなかだ」
とのこと。
確かに、先程までのクラスメイトに比べれば、かなり上出来と言えるだろう。
本気を出せば、稽古場にハリケーンを起こせるのだが。
「得意なのか?風魔法」
「はい…。実は」
僕は、照れ笑いを浮かべて答えた。
ここは、偶然得意な魔法が上手く出来た、ってことにしておこう。
風魔法が得意なのは、嘘ではないからな。
それ以上に得意な魔法が、他にあるってだけで。
「一年生でこの出来なら、上々だと思うよ。是非訓練を重ねて、伸ばしていくと良い」
「はい。精進します」
「じゃあ、次の人どうぞ」
僕に対してのコメントは、それだけだった。
特に、何かを疑っている様子はない。
…本当に?
とてもではないが、油断は出来なかった。
口に出さないだけで、腹の中では何かを勘づいていてもおかしくない。
僕はおずおずと、さりげなく稽古場の端に…羽久・グラスフィアが正面に見える場所に、下がった。
「あ、ありがとうございます!」
初めて受ける、羽久・グラスフィアの実技授業。
生徒達は、皆緊張していた。
勿論、僕も。
まぁ、僕は別の意味での緊張だが。
「はい、じゃあ次」
「はい」
僕は、羽久・グラスフィアの前に出た。
杖を握り、魔導人形と対峙する。
よりにもよって、風魔法の実技だなんて。
僕の、二番目に得意な魔法じゃないか。
うっかり本気を出してしまったら、どうしてくれるんだ。
さぁ、手を抜いて。
でも、本気を出している振りをして。
怪しまれないように。
僕は一つ深呼吸して、杖に魔力を込めた。
「dinw」
適度に調節された魔法が、魔導人形に放たれた。
放った瞬間、やり過ぎた、と思った。
おぉ、とクラスメイトから歓声があがる。
ちょっと、力を出し過ぎた。
魔導人形の先っちょの方が、少し剥げてしまった。
やってしまったものは、仕方ない。
僕は動揺している様を見せず、羽久・グラスフィアに向き直った。
彼が何を考えているか、見なくては。
「へぇ…。一年生にしちゃ、なかなかだ」
とのこと。
確かに、先程までのクラスメイトに比べれば、かなり上出来と言えるだろう。
本気を出せば、稽古場にハリケーンを起こせるのだが。
「得意なのか?風魔法」
「はい…。実は」
僕は、照れ笑いを浮かべて答えた。
ここは、偶然得意な魔法が上手く出来た、ってことにしておこう。
風魔法が得意なのは、嘘ではないからな。
それ以上に得意な魔法が、他にあるってだけで。
「一年生でこの出来なら、上々だと思うよ。是非訓練を重ねて、伸ばしていくと良い」
「はい。精進します」
「じゃあ、次の人どうぞ」
僕に対してのコメントは、それだけだった。
特に、何かを疑っている様子はない。
…本当に?
とてもではないが、油断は出来なかった。
口に出さないだけで、腹の中では何かを勘づいていてもおかしくない。
僕はおずおずと、さりげなく稽古場の端に…羽久・グラスフィアが正面に見える場所に、下がった。