神殺しのクロノスタシス2
「『目安箱推進月間』って、具体的に何をやるんだ?」

するとシルナは、待ってましたとばかりに箱を見せつけてきた。

あっ、聞かなきゃ良かった。

「まずね、目安箱の数を増やそうと思って!」

成程。それで、箱にまみれてたのか。

「各階じゃなくて、各クラスに置くつもりなんだ」

「ふーん…」

目安箱が目に入りやすいようにする訳ね。

まぁ、お手軽に入れやすくはなるわな。

「それに、今までは目安箱の専用用紙に記入して投書することになってたでしょ?」

「あぁ」

目安箱の横に、ペンと、専用用紙を何枚か設置してある。

意見があれば、その専用用紙に書いて投書してね、ってことだ。

「でも今回は、専用用紙じゃなくてもOKにしようと思うんだ」

へぇ。

それは、確かに有益かもしれない。

意見を言いたくても、他のクラスメイトに見られたくない生徒もいるだろう。

目安箱専用用紙に何か記入しているところを見られたら、「あ、あいつ目安箱に何か入れようとしてる」って思われるもんな。

それが嫌で、意見を控えている生徒もいることだろう。

専用用紙ではなく、普通のメモ用紙でも、何ならノートの端を千切った紙でも良い。

何でも良いから投書して良いよ、ってことにすれば。

寮でこっそり書いたメモを、皆が見てないうちに、こっそり目安箱に忍ばせることも出来るだろう。

少なくとも、他のクラスメイトの目は気にならなくなる。

気軽に意見出来るようになるだろう。

「シルナにしては、良い考えだ」

「でしょ!?えへへ」

皮肉言ったつもりなんだけど。

素直に喜ばれてしまっては、こちらとしては何も言えない。

「よし!じゃあ早速設置してこよう。目指せ、一箱百枚!」

ノルマ、一人何枚だよ。

シルナは、両脇に大量の箱を抱えて、学院長室を出ていった。

…で、禁書の捜査は?

忘れてないだろうな…あいつ…。
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