あの場所へ

2.告白

次の瞬間。

「だっまされた? 上妻君。」

と,笑顔で俺の顔をみた。


「私って,女優の才能があると思わない?今度オーデションを受けてみようかな・・・そして,めちゃくちゃ有名になってさ,この島に凱旋するの。ねえ,すごいでしょう。私のことなんて,みんな知ってて・・・」


七海は立ち上がると,
明るくハチャメチャなことを言い出したが,俺の反応のない様子に怪訝な表情で俺をみて

「ねえ,上妻くん,怒ったの?」

と心配そうな顔で聞いてきた。
俺はそんな七海を思わず抱きしめていた。


「こうづまくん・・・・」
七海が戸惑った声で俺の名前を呼んだ。



「俺,お前のことが好きになった。
 お前はどうだ。」

俺の心臓はどんどん鼓動を早く打ち続け
そのドキドキが七海に届きそうだった。



「ねえ,上妻くん。すっごくドキドキしてるよ。」


「うっせいな。お前は俺のことどう思ってんだよ。」



七海は俺の腕の中で,
身体の力を抜いて,俺のほうに身体を預けてきた。
俺は七海の身体の心地よい重さと
俺のあごの下のすっぽりはまってしまう華奢を身体を,優しく抱きしめた。

自分の中が甘い七海の香りでいっぱいになり,幸せな気持ちで満たされていった。


俺は,七海の髪に軽くkissをした。
誰にも渡したくなかった。俺だけの七海でいて欲しかった。
そう,さっきの図書館での騒動のおかげで,俺は自分の気持ちに正直になれたんだ。



< 12 / 38 >

この作品をシェア

pagetop