あの場所へ
3.初めてのkiss
その時だった。
七海が背伸びをしたかと思うと,
いきなり俺にkissをした。
一瞬のことだった。
七海は顔を真っ赤にしてうつむいた。
俺を七海を抱きしめていた腕に,
少し力をいれた。
「いたいよ。」
七海は消え入りそうな声で訴えた。
俺は,
なかなか顔をあげない七海の頬に
手をあてると,
俺のほうへ顔を上げた。
七海は顔を紅くしていたが,
瞳は潤んでいた。
俺は七海の瞳を見つめると,
そのまま唇を重ねた。
きっと,お互い初めてであろうkissは
宵の明星と輝き始めた星たちだけが
見守っていた。
「ねえ。今度流れ星を見てみたい。」
七海がつぶやいた。
「ああ,ここでたくさんの流星を見よう。」
俺は,これから二人で作るたくさんの思い出に胸躍らせていた。