あの場所へ
俺は,
いつまでも
七海の姿を見ていたかった。
けど,
高速船の時間はどんどん迫ってきて,
俺は病院を去らなければならなかった。
「本土と島は遠いぞ・・・」
先生の言葉がよみがえった。
高校生の分際で,
そうそう本土に上がれるわけもなく,
俺は七海のお母さんへ毎日電話をして,
七海の容態を聞くしかなかった。
骨髄移植後の辛い様子の七海を
そばで支えることができない自分に
苛立っていた。