あの場所へ

6.新たなスタートライン

それから数ヵ月後,

俺はオリンピックマラソン選手の選考レースのスタートラインにたっていた。





「へぇ。すごいね。上妻くん,
走るのすきそうだもん。
それで,上妻くんの明るい未来は開けてきそうだね。
どっかの大学の陸上部の先生が見に来てて,そのまま大学にスカウトさせて,ほら大学駅伝とか箱根駅伝とかでて,実業団にはいって,マラソンに転向して,末はオリンピックのメダリスト!!
絶対,有名人になるよ。上妻くん。
私,テレビの前で,めっちゃ,応援してるの。旗とか,横断幕なんて作って。」



そう,
笑顔いっぱいの七海の顔が
俺の脳裏によみがえった。




七海,
空から俺のこと見守っておけよ。
絶対に代表になってみせるからな。




そしたら
俺はまた
新しい人生のスタートを
切れそうな気がする。



マラソンをするには,
すこし青空が眩しい日。

ピストルの音で,
俺は集団の中から飛び出した。

笑顔の七海のがんばれっていう声が

俺の耳に届いた。
                            
                                                     ~ 完 ~


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