あの場所へ

3.出会い2

ふと,昔のことを思い出して,
感傷に落ち着いて浸れるようになったのも,

きっと
この島に帰って来たからなのだろうか。

俺は冷静に自分の心の中と向き合っていた。


もう一度俺は手にしている本に目をやると,
先を読み進めた。

「この胸にいっぱいの愛を」
という数年前に映画化された,
SFのような恋愛小説ような
不思議な話だった。


「まるで
七海が読むようなタイトルの本だな。」

思わずつぶやいた。

俺はどちらかというと推理小説や歴史物
を好んで読み,
七海は恋愛物を読んでは,
よく涙を流していた。

そんな七海をよくからかっていたな…
そんなの現実であるわけないじゃん。
って。

だけど,今は切に願う。
この本の内容が現実だったら,
七海・・・
俺のところに,戻ってきてくれないか
・・・一瞬でいいから・・・・

俺は本を読み進めながら,
そのまま深い眠りに落ちていった。
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