あの場所へ
2.意外な選手
いきなり目の前に,七海が現れたのだ。
「何してんだ。」
「何してんだって。
私,学年対抗リレーの選手よ。
知らなかった?」
「ああ,」
そうだよ。
どこから見ても真面目な優等生の七海が,
リレーの選手なわけがないだろう。
頭のいい奴は,
運動音痴って決まってるじゃないか…
俺の偏差値レベルでは,それが常識だ。
あまりの意外さに,
俺は軽いパニック状態になっていた。
そんな俺を見透かしているのか,
七海は俺の肩を思いっきりたたくと,
「ほら,始まるよ。」と言って,
スタートラインに並んだ。
青い空に銃口を向けたピストルから
乾いた音が響いた。