はじめのいーっぽ
 弟ウサギは、またションボリした表情を浮かべます。

「こんなに汚れてたら、やっぱりお家に逆戻りだね」

 お兄さんウサギは、しゃがむように目線を合わせると、思い出したかのように言葉をかけます。

「大丈夫。確か広場までの途中に湖があるから、そこで泥を落として行こうよ」

 ポタポタっと滴る泥水を気にしながら、兄弟ウサギは湖に向かいました。

 湖に着くと、そこには水面に浮かぶように羽を休める、大きな白鳥がいました。
 目を閉じ羽づくろいをしていて、とても気持ちよさそうです。
 
 白鳥は兄弟に気づくと、その泥だらけの姿に、心配そうに声をかけてきました。

「あら、僕たちどうしたの? 顔や身体が汚れているけど、大丈夫?」

 お兄さんウサギは、泥だらけの理由を説明しました。

「ここまで来る途中にあった、大きな水溜まりを飛び越えられず、落ちてしまったんです」

 白鳥は心配した表情で答えます。

「まあ、そうだったの」
 
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