はじめのいーっぽ
 お兄さんウサギは、考えながら答えます。

「何かを始める時や行動することを、はじめの一歩っていうんだよ」

「どろんこになっても?」

「うん。失敗しても、上手く行かなくても、何かを実行する事は、はじめの一歩なんだよ」

 弟ウサギは、知らなかった言葉に喜びます。

 しばらく歩くと、とても大きな熊のおじさんが、一本の大木の近くで何かを作っているようでした。
 トンカチと釘を使い、何やら箱のようなものを作っています。

 ウサギの兄弟は興味がわき、声をかけていました。

「おじさん、何を作っているんですか?」

「おお、これはね、小鳥のお家を作っているんだよ」

 見るとその形はいびつで、お世辞でも、よく出来ているとは言えないものでした。
 部分的に板がはみ出していたり、玄関となる入口も、丸形ではなく不思議な形をしています。

 ですが熊のおじさんは、満足げにそれを見つめ、こう話します。

「おじさんには無理だと諦めていたんだけど、どうしても作りたくてね。挑戦してみたんだよ」

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