はじめのいーっぽ
 お兄さんウサギは喜ぶように見てましたが、弟ウサギは、今日覚えた言葉を思い出し、熊のおじさんに言いました。

「はじめの一歩だね」

 熊のおじさんは驚いた顔をしましたが、喜びの表情に代わると、声を弾ませます。

「本当だ。おじさんのはじめの一歩だね。二歩目。三歩目とつながる、はじめの一歩だ」

 それからウサギの兄弟は、広場までの間。今日見たり、知った一歩を、歌うように思い出していました。

 はじめのいーっぽ。

 はじめのいーっぽ。

 天気が良かったからお外に出かけたこと。

 失敗したけど飛び跳ねてみたこと。

 泥を落とそうと思い、湖によったこと。

 小鳥のお家をつくってみたこと。

 はじめのいーっぽ。

 はじめのいーっぽ。


 今日はいろいろな一歩を、体験しています。

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