一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
memory:11
いよいよ夏休みになった。

といっても去年とは違い、補習の時間は一日中。

朝から夕方まで進路別に別れてみっちり授業。

「はーあ、疲れた…」

ついついそんな声が漏れてしまう。

「まだ受験は始まったばかりなのよ、甘いわ、愛。」

ミカリンは単語帳から顔を上げて言う。

そんなこと言ったって、ミカリンはもともとあたしとは出来が違いすぎる。

勉強するって好きか嫌いかってことがすごい大切だと思う。

あたし自身文系の勉強はそこまで苦だとは感じないけどとにかく理系の勉強は苦痛で仕方ない。

けど栄養系に進むにはどうしても化学が必要。

だから必死で向き合ってはいるんだけど…

「来週からは補習休みになるけど気を抜かずに頑張らないと、ここが正念場だからね。」

この前面談した時、神崎先生はそう言っていた。

担任の先生じゃないけど、たまに進路相談に乗ってくれている神崎先生の言葉は納得するものが多い。
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