一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
あの時のことは今でも覚えてる。

唇が、指先が震えて。

寒くもないのに。

そして呼吸が苦しくなって。

「今日のご飯は直作るって。なんかあいつ浮かれてんだよ、面倒臭い。」

あたしは決めた。

今回のことは自分で解決しよう。

玲もりっちゃんも今は大変な時期。

そしてあたし自身も。

あの人はまたね、って言ってた。

ということはまた現れるのかな。

神崎家には帰らないのかな?

どうして一緒に住んでなかったのかな。

たくさんの疑問が重なって。

ひとつひとつ、今度は自分で解決するんだ。

これはあたしの問題だから。

「愛?」

不思議そうに覗き込んでくる玲の目に全てを話したくなったけど、ぐっと我慢した。

「ううん、なんでもない!お腹減ったね!」
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