一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season

「こんがらがっちゃってるね。先に言っとくと俺は神崎家の本当の子供じゃない。養子だよ。暁の母親の妹の子供。だから暁たちとは従兄弟同士。」

暁ちゃんたちのお母さんってことは、あたしのおばあちゃんにあたる人。

たしか数年前に亡くなってるって神崎先生言ってたっけ。

お葬式にはお父さんだけが参加したんだ。

「俺の母さんは心が弱くて、女の子がそのまんま大人になっちゃったみたいな人だった。あんまり覚えてないけど家にいないことも多かったし、いてもいつも泣いてた。」

皓さんは表情を変えずに淡々と話す。

「暁の母親の沙和さんはよく俺の面倒も見てくれてた。俺の母親は２０歳の時俺を生んだ。ひと回りも違う妹のこと、相当可愛がってたみたい。」

２０歳、あたしを生んだ唯ちゃんと同じ年だ。

「母親の那奈は実の両親から縁を切られてたみたいでそれで沙和さんを頼った。沙和さんは身寄りのない那奈をいつも優しく迎えてくれてた。」