一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
memory:17
放課後の密会(この言い方はなんか変?)はもうすぐ二週間。

なにをするわけでもなく、皓さんの思い出話やあたしの学校のこと、たわいない話を30分ほどして帰る。

ブランコに乗って足をフラフラさせる皓さんは子供みたい。

「もう冬だねー、俺、冬が一番嫌いなんだ。」

冬は暁ちゃんがいなくなった季節。

そんなの理由は聞かなくたってわかる。

「愛ちゃん勉強はどう?進んでる?」

「放課後呼び出しといて何言ってるんですか。」

「アハ、ごめんごめーん。でもなんか落ち着くんだよね、愛ちゃんと話してるとさ、なんていうかさー…」

皓さんの目に夕焼けが映ってる。

綺麗だ。

「愛ちゃん、暁に似てるからかな。唯ちゃんにも似てるけど、鼻とか、あと髪質とかさー…」

皓さんの手があたしの頬に伸びてくる。

離れないと…!

それなのに気が付いた時には皓さんの腕の中にいた。

いつのまにかブランコから立ち上がった皓さんはあたしをしっかりと抱きしめている。
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