一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
ましてや20歳で親になろうとした2人に反対するのは当たり前のことだ。

尊い命だってそんなの綺麗事だから。

だけどその綺麗事を暁ちゃんたちがあきらめないでくれたおかげであたしは今ここに生きている。

「でも本当に、初めて愛に会った時、生まれてきてくれてありがとうって思ったよ。愛がいてくれてたくさんの人が救われたんだ。これは嘘じゃないから。」

その言葉に嘘がないのはちゃんとわかってる。

あたしはちゃんと、誠司さんの優しさもわかってる。

「暁も唯ちゃんも皓を大切に思ってた。僕も沙和も、朔も。」

綺麗な泣き顔の皓さんは黙って頷いた。

あたしを恨みの対象にしなきゃやっていけないほど暁ちゃんのこと、好きでいてくれたんだ。

暁ちゃんたちにはもう会えないけど少しでも皓さんがこれから前を向いて進めるといいな。

そしてあたしも、ちゃんと自分で進んでいきたい。

2人がくれた大切な家族と一緒に。
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