一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
memory:19
夢を見ていた。

あたしは誰かと両手を繋いで歩いている。

「ほら、ブランコブランコー!」

「ちょっと!暁ちゃん、やめてよね!愛がびっくりするでしょ!」

「いいじゃん!唯は心配症だな!楽しいよな!愛!」

あ、あたし暁ちゃんと唯ちゃんと歩いてるんだ。

「ほら、唯も!愛、ママの手につかまって!」

あたしが右隣の柔らかい手を握ると身体がふわりと浮いた。

こんな記憶、ないから願望なのかな。

あたしがずっと夢みてたこと?


目を開けると見慣れない部屋にいた。

微かに香るのはシトラスみたいな爽やかな香り。

壁には有名なバスケットボール選手のポスターとあれは確か、引退するときにみんなであげた色紙…

えっ!!!

ここはっ!?

「…!気がついた!?大丈夫!?愛、当然倒れたから…」

やっぱり!

あたしはガバッと起き上がる。

浅丘君の部屋だ。

倒れたってあたし?

もしかしてここまで運んでくれたの?
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