一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
顔を上げた先にいた浅丘君。

真剣な表情。

「俺は別れたくない。だってまだ愛のこと好きだから。絶対あきらめたくない。だからもし愛が俺のこと嫌いになったんじゃないんだったら愛が話してくれるまでずっと待つつもりだから。」

こんなあたしのことをまだ好きだって思ってくれるの?

勝手なあたしを待っててくれるの?

「…ごめんなさい!」

「もう謝らなくていいから!」

だけど今は謝るくらいしかできることないもん。

「…だけど一つ、確認してもいい?」

あたしは頷いた。

「愛は俺のこと、好きでいてくれてるんだって思っていいんだよな?」

そんなの、当たり前だよ。

「うんっ…」

「そっか、よかった…」

あたし、この人の彼女になれてよかった。

浅丘君があたしを彼女にしてくれてすごく幸せだ。

こんなに大好きな人に出会えて本当によかった。

「よし、そろそろ帰ろうか。お兄さんたち心配するだろうし…」

その右手は暖かく包まれていて。

年の瀬、一番最後、あたしはすごく幸せでした。
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